不思議と、寝覚めの良い朝だった。
恭平は、目覚まし時計が鳴る1時間も前に目が覚めた。
あの夢を見なかったせいだろうと、恭平は確信する。
再度始まった時から昨日まで、毎晩のように続いた夢。
何か、あの黒い煙について分かるのではないかと思ったが、結局はただの夢であ
った。
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余裕を持って家を出たせいか、恭平は早めに学校へ着いてしまった。
自転車を指定の置き場に置くと、昇降口へ向かう。
ふと、何故か西野のことが気にかかった。
それと同時に、転校生のこともだ。
気にしたが最後、恭平は何だかすっきりしない気分を抱えて、靴を履き替えた。
そして、3階の教室を目指して、階段をのろのろと上がっていく。
2階へと上がると、何気なく1組の方を覗きこんだ。
最後に西野を見かけた、教室。そして、窓際の一番前の席。
そこには、今日はあの転校生が居た。
「ちょ、何やってんの…!」
2度目の、思いがけない遭遇だった。
「あぁ、おはよう始くん」
幸季は、駆け寄って来た恭平に微笑を向けた。
「………あんたさ、何で西野のこと知ってるの?」
恭平は、昨日答えを聞けなかった問いを返した。
「………君はさ、今現在のこの時が夢だったら、どうする?」
「は…?」
意味有りげな笑みを浮かべ、幸季は逆に問い返した。
「ううん。もしかしたら、本当に夢かもしれないよ?」
何時もの様にくすくすと笑う幸季を、恭平は不思議そうに眺めた。
「…ぇ……あ、あのさ……」
「良かったよ、無事君を見つけられて。流石は紫水さんだね。………さてと、そ
ろそろ時間かな」
言うと、幸季は教室のドアへと向かった。
「ちょっと!だから話を聞いて…」
「じゃあ、後で。その時はちゃんと話を聞くよ」
と、幸季が教室から出た瞬間だ。
そこには、見慣れた天井が有った。
「……………夢……」
恭平が呆然と天井を眺めていると、目覚ましがうるさく鳴り始めた。
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