その目の前のものが、夢か現かなんて 誰も、知らない。 * 見上げた先の、猫が笑う。カリカリとカラクリを回す。 その大きな『カラクリ箱』へ、幼子が二人、足を踏み入れる。 中は、迷宮だった。幼子達は、光を探し彷徨う。 すると、一人が不可思議な扉を見つける。 もう一人は、好奇心故に扉を開け放ってしまった。 そこは、灰色。灰色の無機質な壁に、ぽっかりと浮かぶ窓。 その光に照らされた、巨大な道化師。 道化師は幼子を笑うかのように、白い煙とともに大きな音をたてた。 幼子達は、恐怖のあまり無我夢中で駆け出した。 何処をどう駆けたのかは、分からない。 行き着く先は、望んだ光だった。 さぁ、夢か現か………もう幼子には分からない。 * 「夢堕つる現の彼方」一話、『夢という籠の中の現』にお付き合い頂き、誠にありがとうございました。キムラです。 はてさて、『夢か現か分からなくなる』経験を、一体どれだけの人々が持ってい るのでしょうか? かく言う私も、その一人。幼子の一人は、私です。 どうしても思い出せません。あれが夢だったのか、現実だったのか。もう確認も 出来なくなってしまいました…残念ながら。 思えば、この経験が「夢堕つる現の彼方」を生んだと行っても過言ではありませ ん。 「夢」とは、只の無意識に存在する願望のあらわれでしょうか? 経験を補うように、具現化された現在、過去の混じり合う歪みでしょうか? もうちょっと、不思議なことが有りそうな気がします。 何はともあれ、「夢堕つる現の彼方」、綻び違和感だらけかとは思いますが、何 卒見守って頂けると幸いです。 戻る。 |